赦せないお父さん。
「あなたらしい考え方だね〜。すごい!」
「何をやっているの?おもしろそうだね。」
「それを聞いてお父さんも嬉しいよ。」
「できるようになったんだ。すごい。パパにも教えて」
…思わず涙が出ました。
あの本には...
私が昔から聞きたかった...言葉が、
全て書いてありました。
いつも背中を見つめ我慢していた、
諦めていた言葉と愛情。
「僕はすごいんだ。何でもできるんだ。
だから大丈夫!」
いつの間にか自分に言い聞かせていた言葉。
本当は...
もっと...
声をかけてもらいたかったんだな
もっと今の私をみてほしかったんな。
大きくて巨大な世の中に、
太刀打ちできない圧倒的な父親の影に、
いつも一歩下がっては諦める毎日。
「お父さんって大変だ。大人は忙しいんだ」
そう。大人は世界を全て背負っているように思えました。だから、仕方ないんだと。
それから絶対父親のような人間にはなるまいと決める中学生の幼い目には、明るい未来より過去への、そして親への怒りがいつも漂っていました。
怒りは自分も知らないコンプレックスとなり、それはやがって自分そのものになっていました。
もしもう一度その時に戻れるなら、
私は幼い自分に何というんだろう。
「…赦してくれない?」
「どうして!?悪いのはあの人なのに...!」
「... 赦すのは、彼じゃなくて私」
「怒りで悲しい目をしている自分を赦してくれる?」
「... ...」
いつもの夕方7時。
「ただいま。」
「すごい!パズル一人でできたんだ!」
「パパにも教えて!」
パパでありながら、子供である、
「子育て」って不思議な経験です。