韓国人パパの人生と育児 with 哲学

育児と人生について日常から気づくことを書き残しています。思考の軸は、インドの哲人クリシュナムルティ(J. Krishnamurti)。5年目ブロガー。21年冬Amazonペーパーバック出版。これからもぼちぼち続けていきたいと思います。コメントや批評全てご自由に。

愛の秘密


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優しい黄色の陽光が、
あらゆるものを少しずつ
染めていくある午後。

バッタの飛び交う
黄緑の草原の上を
無邪気に走り出す娘。

足元に舞い上がる、
小さな花びらと葉っぱが
夜空の星のように輝く。

その全ての中で娘は...
転ぶのを恐れることなく、
決して振り返ることなく、
無邪気に…前に向かって走っていく。

その光景は...
荘厳な景色を目にしたとき、
その美に圧倒され、言葉を失う
そのときの何かに似ている。

そして僕は今日も…
それが写真の中に収められない
何かであることに気づいても...
ついカメラを取り出し、
少しでもあの美を…あの感覚を
どこかにとどめておこうと
必死になっている。

***

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時間とマネーに追われる現実を、
教育や子育てよりも成功や効率が
優先される社会を嘆く日常。

短い睡眠や休息から得られた
ほんの少しのエネルギーは...
人間関係や生計の手段に
なりつつある仕事で消耗され、
浪費される悲しみ。

...向き合いたかったのは、
冷たいモニターではなく、
温かい子供の笑顔であることを

手で触って感じたかったのは...
キーボードやマウスではなく、
小さいけれど波動に溢れる、
娘の肩と手であることを…
虚しさと共に気づく悲しみ。

少し早いお迎えに...
跳ね上がって喜ぶ娘を
抱きしめるたびに...

何かが間違っているという知覚が、
言葉にはできない、
締め付けられる苦しみが…
喜びと共に胸の奥から
跳ね返ってくる。

...
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...何が間違っているのだろう?
...私たちは今ここで何をしているのだろう?

答えを必要としない悲しい問いが…
温かい娘の背中に流れていく。
...

しかし子供は...
何の目的も、何の動機も持たずに
無邪気に走り、喜び、生きていた。

それはまるで...
ただそこに咲いている花のように…
生きるために生きている
無数の雑草のように…

自らが命であり、愛そのものとして
ただ今を懸命に生きていた。

そしてその姿を...
僕は何度も何度も言葉を失い、
ただ突っ立ったまま眺める。
...

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そこには独特の感覚がある。

無数の目標を達成したときの喜びや、
努力の末に手に入れた感情の高ぶりとは
全く異なる何かの感覚が…

過去の犠牲や努力を合理化し、
自分を褒めたたえ、結果に微笑む、
あの喜びとは全く異なる感覚が…

「もう一度味わいたい」
「もう少しそれに浸っていたい」と願う、
衝動や快楽とは無縁の感覚が…

もし二度と経験できなくても
決してそれを悔しがらない感覚が…

いつかは失うかもしれないという...
焦りや不安とは全く異なる感覚がある。

そしてその感覚は...
何かの思い出としては記録できない、
全く違う何かであることに気づくとき、

そこには、時間が…
そしてその時間である思考が…
全く存在していないことに気づくとき、

それで...その気づきが、
過去への執着を、未来への不安や期待を…
思考から生まれる悲しみと苦しみを
何もかも全て...持ち去るとき、

無邪気な姿をした愛が…
決して見たことのない愛が…
果てしなく眩しく輝いている。

そのとき、もし僕に...
生きることの意味を、
人生の意味を聞く人がいたならば...

僕はきっとそれは...
愛への理解だと言ったに違いない。

...
あの午後、優しい黄色の姿で
あらゆるものの中にあった愛を…


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♬ 愛の秘密_Saho Terao

 

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