韓国人パパの人生と育児 with 哲学

育児と人生について日常から気づくことを書き残しています。思考の軸は、インドの哲人クリシュナムルティ(J. Krishnamurti)。5年目ブロガー。21年冬Amazonペーパーバック出版。これからもぼちぼち続けていきたいと思います。コメントや批評全てご自由に。

子どものいない入学式

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スーツの上に降り注ぐ日差し。
キラキラ輝く子供たちの笑顔。
校庭の片隅に静かに咲いた花。

「来賓客様用」...

ガラガラの駐車場を後に
遠くのグラウンドに並ぶ
砂埃の車と車。

入学式と書かれたパネルに群がり
順番を待つ子どもと親。

どこか懐かしい古びたスーツを
ぎこちなく身にまとう緊張感と
未知の何かに目を光らせる瞳。

小1の壁。
小4の壁。
中学受験。
育児と仕事の両立...

不安だらけの未知の何かに
顔を曇らせる親の遠い視線。

同じ不安、同じ居心地悪さが、
言葉にできない悲しみが、
生み出す不思議な一体感。
...

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「ご入学おめでとうございます」

あちらこちらから聞こえる
お祝いの言葉の先に、
書類を片手に流れ込む親を
眺めるPTA役員の眼差し。

どんな記憶よりも古い
椅子と机が並べられた
体育館が放つ存在感。

あの時の懐かしさが...
一瞬にして時代遅れの失望や
未知の恐怖へと変わる感覚。

赤い日の丸と市役所の旗。
子どものための演出や配慮は
全く見当たらない、
どこかで見かけた、そう...
戦後の学校写真のような景色。

白髪混じりのお年寄りや教育委員会
そう呼ばれる来賓客に...
深々と頭を下げる校長と先生。

広大な体育館を埋め尽くす...
伝統という名の不快な規律と
無意味な演出が...息を詰まらせる
...

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「入学式」

順序やそのやり方、厳粛さ...
何もかも全て...子供ではなく、
大人のための入学式。

そう、それは新しい門出を祝う、
楽しくてめでたいイベントではなく...
校長、委員、PTA...
無意味な関係者のために

作られた彼らのための式。

校長、市長、市議会委員...
ポスターでしか見かけない人々が
各自の目的に合わせた仕事を、
やるべき役割を果たすための式。
...
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そして静かに...
そのすべてを眺めて思うこと。
...

もし本当に...
私たち大人が...子どもの目線で、
彼らの立場で考えることができれば...

入学を祝うという目的だけに、
心を一つにすることができれば...
入学式はどんな姿になるんだろう。
...
「元気」
「挨拶」
「好奇心」
...
宿題という名の押しつけも、
校長や来賓客様の長い祝辞も、
気持ち悪いほど綺麗に並べられた椅子も、
体育館を埋め尽くす堅苦しい空気も...
きっと存在しなかっただろう。

もし本当に...
私たち大人が...子どもの目線で、
彼らの立場で考えることができれば...

あの長く退屈な式を終えて
友だちとはしゃぎまわる子どもを、
無理やり引っ張ったりしないだろう。

「早いほうが楽ですよ!」
PTA役員の空席をむりやり
そうやって決めたりはしないだろう。

…そう、それはまさに...
子どものいない入学式。

...

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...
閉会という言葉に

さっさと帰りを急ぐ
親の手を振り切って
友だちと弾ける小さな背中。

その子どもたちの隣で、
ご多忙中お越し頂いた来賓客を
見送る校長の大きな背中。

...入学式とは何だろう?

私たちはいつまで...
この無意味な式を、
無価値なナンセンスを続けていくのだろう。

「早く帰ろう」
つい
反射的に口にしようとする自分に、
そこに込められた思い出や時間、
その全てである自分の過去に気づき、
言葉が消え去る時...

「... 」
「... 」
「... 」

校庭の片隅に咲いた
誰一人、気にかけない、
名前のない、あの花のように...
決して言葉にはできない何か
だけど最も大事な何かが...

あらゆる過去と未来の外側で...
...静かに...花開く。

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