韓国人パパの人生と育児 with 哲学

育児と人生について日常から気づくことを書き残しています。思考の軸は、インドの哲人クリシュナムルティ(J. Krishnamurti)。5年目ブロガー。21年冬Amazonペーパーバック出版。これからもぼちぼち続けていきたいと思います。コメントや批評全てご自由に。

奇跡とリアリティー

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丸いテーブルと丸い椅子に、
丸く座って景色を眺めていると…

一歩引いたどこかで...
休暇を満喫している
自分の姿を眺める
もう一人の自分がいる。

そして思い浮かぶ言葉。
あ、休みはこうじゃなくちゃ...

今どきの木材で
おしゃれに飾られた
あるカフェの中で、
僕は今日も…
数え切れない自分と出会う。

仕事、仕事、仕事...
そしてほんの少しの休みすら
仕事の疲れを取るための仕事に
なってしまった自分に…

溜め込んだ言葉やストレスを、
それ以上の感情と共に吐き出す
ことに夢中な自分に…

スマホと向き合い、
ありもしない関係を追い求め、
何かの喜びやいいねをみつけようと
もがく無表情な自分に…。

...

日差しにその色を変えていく窓。
音もなく風になびくオリーブの木。

優しく広がる青色の湖の上に、
こぼした宝石のように輝く光。

大人は気にもせず、何かを追いかけ、
喜び、はしゃぎ回る子供の後ろ姿。

過去にも、未来にも…
二度と訪れないその景色が、
今、目の前で…同時に広がっていることに...
その奇跡のようなリアリティーに...

どうして私たちは、
鈍感になってしまったのだろう?

いつもの日常と異なる、
刺激的で暴力的で…注目を浴びる
その何か以外のものに...

どうして私たちは、
いとも鈍感で…いとも無関心に
なって
しまったのだろう?

***

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同じ空間、同じ時間の中にいても...
決して互いが互いを寄せ付けない区別

距離や時間、物理的な区別ではなく、
心理的で内面的な区別

自分を中心に世界を眺め、
常に冷たく利得を優先させ、
絶えず選択し、評価する区別

まるでリアリティーのように
狭いカフェの中に充満している、
あなたと私の間にある、その区別に…
あなたは気づいたことがないだろうか?

…足元に流れる音楽や誰かの笑い声。
無神経に叩くキーボードのリズム。
慎重にスマホを眺める丸い背中の沈黙。

周りの変化や反応に気づき、
その全てを敏感に感じ取ることなく、
ただ自分の中に閉じこもる区別に…

不満や怒り、傲慢や自慢...
常に誰かと戦い、何かを吐き出し、
寂しさと孤独を何かで満たそうと
もがく自分に…あなたは、
気づいたことがないだろうか?
...

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区別があるところには、
必ず葛藤があることを…
葛藤は自分を孤立させる
原因であることを...

ただ言葉の上ではなく、
単なる知識としてではなく、
その危険性と悲しみを…
自分の力で感じ取ることができれば…

それで…戦っているのは、
実体のあるリアルなものではなく、
自分が作り上げた幻であることを…

その幻が自分の中で、
どんどん大きくなって…
抱えきれない苦しみとなって、
それを取り除こうともがく、
自分の姿に気づくことができれば…

それで…
実体のない幻に怒り、イライラし、
何かを認めさせようとすることの虚しさに…

生きるエネルギーが…
目の前で繰り広がるあらゆる輝きを眺め、
美しさや醜さその全てと共にとどまる情熱が…
消えていくことに気づくことができれば…

私たちの人生は、もう少し…
変わっていたのかもしれない。

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もし私たちが…
日差しを浴びたまま風になびく、
あの一本の木と関係を持つことができれば…

ただその外見やおしゃれな鉢を
眺め、感嘆し、それから…
その思考と共にその全てを片付け、
終わりにするのではなく、本当に…
木そのものを感じ取ることができれば…

カフェの中や窓の外にある、
あらゆるものと本当の関係を持つことが
できるのではないだろうか。

絶えず何かを区別し、苦しむ…
その果てしない悲しみと虚しさに…
触れ合うことができるのではないだろうか。

座禅、宗教、グル、師匠…
顎髭を生やしたり、坊主頭にしたり、
派手か質素な服を纏い、口数を減らし、
静かに座って何かを唱えながらも…
依然として自分と他人とを区別している
誰かの言葉ではなく…

運命、手相、転生...
苦しい人生への慰めや気晴しの手段、
流行りのスピリチュアルとしての
言葉からでもなく…

誰にも、どんな言葉にも
依存することなく…

その全ての外側で、
自分の力で悲しみに触れ合うとき...

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その悲しみが…その虚しさが…
他ならない自分自身であることに
もし気づくことができれば...

区別の無意味さを感じ取り、
それ以上の葛藤を生み出さない観察が、
生きる目的や意味を追い求めない自由が、
その全てであるが…
そこに生き生きとうごめいていることに…

そしてそれは決して何かの幻でも、
達成すべき悟りや何か高貴な何かでもなく、
窓の外で広がっている、あの日常のように

ただ…ずっとそこにある、
しかし常に新しい今であることに、

その当たり前で、とてつもない事実に…
あなたは気づくかもしれない。

もしあなたが、その事実にただ…
ありのまま触れ合うことができれば…

日差しを浴びてなびく
一本の木の美しさを、
人生というものの美しさを、
あの奇跡のようなリアリティーを…

あなたは…見つけるかもしれない。

 

♬ 追想・寺尾沙穂

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