雨粒と気づき
みるみるうちに…
まわりに広がる雨粒。
静かな草の傍らで
騒然とした音を出す
金属のフェンスや建具。
雑草だらけの庭の片隅に
見え隠れするガボチャの花。
夕方の終わりに降り注ぐ雨と夕焼け。
その余韻がもたらす景色。
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何かをその前と後とに区別し、
始めと終わりと名付けること。
それはただ...
少しだけ草が伸び、
少しだけ花を咲かせただけなのに...
人は過去(記憶)から
そのイメージから眺め、比較し、
最後は...言葉にして忘れてしまう。
...疲れた...
そう嘆くたびに、
吐き出された自分の言葉に甘え、
無神経な行動を何度も正当化する。
ふと...そういう自分の姿に気づき...
ハッと驚き、つい逃げ出してしまう。
***
どうして働かなきゃいけないの?
どうして懸命に生きなきゃいけないの?
問いに答えられずに...
戸惑い、苛立つ日々。
または...
あのさ、生きることというのは、
夢中になることを見つけることなんだよ!
生きていれば何とかなるんだよ!
それっぽい言葉を投げ出し、
少しでも問いから逃げ出したい日々。
あんなことしていいの?
今の時代を分かっているの?
あの政治家は...あの誰々は...どうして。
絶えず...誰かを批判することで、
自分の人生が、
それを支えるちっぽけな正義が、
崩れてしまわないように
声高に叫び続ける日々。
...
傷つきたくなくて...
できるだけ心配しないで済み、
安心安全の中で生きていたくて...
誰かを傷つけ、誰かの安心安全を批判する日々。
***
みるみるうちに…
まわりに広がる雨粒。
静かな景色の傍らで
騒然とした音を出す思考。
美しい夕方の終わりに思い浮かぶ問い。
どうして働かなきゃいけないの?
どうして懸命に生きなきゃいけないの?
問いに答えられずに...戸惑い、
苛立つ自分に気づくとき。
何も名付けず、誰かと区別したり、
今の自分の姿を正当化もせず…
そうやってどこにも逃げないでいるとき。
あの恐ろしい胸焼けは、
音も立てず…静かに自分の居場所を見つける。