韓国人パパの人生と育児 with 哲学

育児と人生について日常から気づくことを書き残しています。思考の軸は、インドの哲人クリシュナムルティ(J. Krishnamurti)。5年目ブロガー。21年冬Amazonペーパーバック出版。これからもぼちぼち続けていきたいと思います。コメントや批評全てご自由に。

親はつい…

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ぱっと見。
そう、ぱっと見それは...
何の楽しみも感じられない、
退屈で無意味な遊びだった。

何の変哲もなく、
それで眺めていると…

つまらないという言葉が、
口から漏れそうな…
どこにもありそうな公園で...

娘は、誰一人...
気にすることなく、
またそういう自分すらも
気にすることなく…

ガチガチに固まった砂の上に、
何かを描いては消し、
また何度も小さい指で
キラキラ光る小石を
並べ直していた。

その姿はまるで...
おうちのどこか…
娘だけが知っている、
落ち着くどこかに座って...
心地よく何かに没頭している
その時の姿に似ていた。

その公園のど真ん中で、
娘は家と同じように、
舞い上がる砂と土は、
全く気にもかけずに…

小さい足を大きく広げ…
心地よく何かを描いたり、
小さな砂山を作っていた。

静かに…
そして少し感傷的に…
その姿を眺めていた僕が、
何を描いたのか、どこに使うのかと…
ついつい口を出すと...

突然...
娘は瞳を大きく見開き、
どうしてそれを聞くのか、

どうしてそれに説明が必要なのか
…と
言わんばかりにじっと僕を眺める。

そしてその目を見て初めて…
目の前のものを言葉で眺め、
説明し、
それを理解したと…
そう思いたがる自分の姿に…
はっと気付かされるのである。


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...
「これはね〜」

溢れ出す言葉。

そこには...
おそらく先程までは、
存在もしなかった名前や役割が、

その全てから成る、
生き生きした何かが…

まるで魔法のように、
膨らんだ口元と指先から…
真っ白な砂と小石の上に
優しく舞い降りてくるのである。

...

おうちに帰ろう!

僕の声に娘は...
その全てには
最初から
何の興味も無かったかのように、
僕の手を引っ張っていく…。

そう、それは確かに...
何の楽しみも
何の特別感も、
感じられない
退屈で無意味な…

ありふれた日常だった。

***

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親はつい...
子供のこととなると…
派手で遊びごたえのある
特別な出来事やイベントに…
いつもの日常とはかけ離れた
体験や思い出作りに...ムキになる。

予算や日程、利便性や効率...
時間と努力に見合うだけの価値を、
ひっきりなしにスマホや何かで確認し、
最善の選択を…子どもへの最善の思い出を、
買うことに…ついムキになる。

それから...自分の行動を、
親としてのその選択を、
子どもがどう感じたか...
どう評価しているのか…
聞き出すことに…

そう、自分の苦労が…
そのために払った時間と努力が…
決して無駄ではなかったことを、
その選択が最善であったことを、
何度も自分に言い聞かせることに...
必死になってしまう。

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もしかしたら子育ては…
自分の姿に気づく...
鏡のようなものかもしれない。

子供に何かを与えたいと思う、
その気持ちの裏にある自分の喜びに… 

こうなってほしい…
もしくはその反対を願う、

その願望に隠れている自分の傷に…

子供の些細な言葉や行動に涙を流す、
無数の昨日の中にある自分の過去気づく鏡。

そう、それは...
何の楽しみも何の特別感も、
感じられない
退屈で無意味な、

ありふれた日常の...
その本当の姿を映し出す...

何の変哲もないのに、
ただ眺めているだけで…
美しいという言葉が口から溢れ出す、
生き生きした何かを気づかせてくれる
...鏡なのかもしれない。

...

♬ 湯布院の朝・寺尾沙穂

 

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