韓国人パパの人生と育児 with 哲学

育児と人生について日常から気づくことを書き残しています。思考の軸は、インドの哲人クリシュナムルティ(J. Krishnamurti)。5年目ブロガー。21年冬Amazonペーパーバック出版。これからもぼちぼち続けていきたいと思います。コメントや批評全てご自由に。

...眺める。

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眺める。

無邪気な背中を、
眩しく輝く大きな瞳を、
天真爛漫に弾ける顔を
...眺める。

卑劣な目つきを、
厚かましい仕草を、
怒りに満ちた背中を...
そういう自分の姿に
気づかない虚ろな瞳を、
...眺める。

今は消え去ってしまった、
無邪気で無垢な瞳を、
命とともに与えられた何かを、
...眺める。


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人種と国籍、
親と生まれた環境、
プロパガンダと資本主義、
...思考が作り出した
あらゆる人工的な何かに
影響されないものを、

それは決して...
言葉では言い表せない、
果てることのないものを、

だから...
思い描くことも未知という
言葉すらつけれないものを、
... 眺める。


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戸惑い、憤りに震え、
必死に感情を抑えようと
もがく自分の姿を、
...眺める。

誰かに認めてもらいたがり、
そして少しそれが叶えば、
溢れるエンドルフィンに
満面の笑みをこぼす自分を...
またはその反対のことで
落ち込む自分を...
...眺める。

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未知なるものへの好奇心に、
ただ今を生きることの悦びに、
あらゆるものに満ち足りている、
息子の透明な瞳を、
...眺める。

そして...無数の過去と感情が、
それを何度も追いかけている思考が、
全て意味をなさないことを…

もし...生きることに、
何かしらの意味が、

何かしらの目的があると
そう言うならば...

それはきっと…
あの瞳...あの未知なる今を…
生きることであることを、
...眺める。

その時...
あらゆる過去が
あらゆる感情が、
一瞬にして...
全て眺められる時...

果てしなく流れる涙を
...眺める。

...

「観察するものは観察されるものである」
‐ j.クリシュナムルティ ‐

 

lcpam.hatenablog.com

 

感情なしに生きる。

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楽しみや嬉しさ。
不安や怒り。

数え切れないほど、
繰り返される感情の波


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… 
感情なしに生きること。

身を投げ出し一喜一憂せず、
何かを肯定したり否定したりもせず、
ただ...それを眺めること。

誰かの言葉に苛立ち、
不快感にイライラする
その全てに反応する自分に
そこにある言葉と空気に...
ただ...とどまること。

...
荒れ果てた海の前で、
疲れ果てた体を引きずり、
涙を流す自分の姿に…

思いがけない言葉に、
跳ね上がって喜ぶ、
またその反対のことで怯える、
ちっぽけな自分に
...気づくこと。


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...
感情なしに生きること。

それは…無味乾燥な生き方でも、
自己中心的な人生でもなく…
自分という縛りから離れること。

波打つ感情をいつものように
好き嫌いで
掴み取らずに…
ただ…その全ての感情に...とどまること。

そう、しつこくつきまとう、
自分という感覚から自由になり、
過去という名の…果てしない執着を眺め、
その悲しみに、その虚しさに...気づくこと。


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感情なしに生きること。

そしてそうやって…
あなたを眺めること。


天真爛漫に喜ぶ、
波打つ小さな背中を…

お兄さんのいたずらに
膨らんだその丸い顔を…
ただ...眺めること。

あ...

これこそ…
子育ての醍醐味だと

そう言わずに…
自分の言葉に酔わずに…

ただ…

ただ…

目の前で広がる美しい波を、
言葉に閉じ込めずに…
またその言葉から見つめ、
頬笑まずに…

過去を振り返り、
何かを正当化したり、
悔んだり憧れたりせず…

その全ての中に...とどまること。


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それはきっと…
あの美しい海のように
溢れる涙が、
波打つ波が…
体を巡って流れること。


そう、愛もきっと…

そうやって…
自分なしに
あなたを眺めるとき
...不
意に訪れるもの。


そう、それは...小さな手をつなぎ、
ただ...今だけをあなたと生きること。


♬ つきひ / 浮
🔗 https://youtu.be/q5Lo0gvpspc

 

lcpam.hatenablog.com

変わりつつ、 変わらないもの。

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穏やかな水面の上で
揺れ動く輝き。

当たり前すぎて
また眩しすぎて
日常の外側に
追いやられる...

変わりつつ、変わらないもの。
...

穏やかな水面の上で
程よく輝き、そうやって…
当たり前ではない、
非日常になるやいなや...

きれい…本質…真理...

それっぽい言葉で、
称賛される何かとして
崇められるもの。
...
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穏やかな水面の下で
流れる広大な濁流

どこかへと果てしなく
運ばれ流される人生。

ただただ…
流されるのが嫌で、
もがき、抵抗する人。

また…運ばれるがまま
身を委ね流される人。
...

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濁流(時代)への絶望。
無数の悲しみ。

傷つきたくない。
幸せになりたい。

自分を守るための努力
その努力が作り出す葛藤。

そうやって絶えず
傷つき、抵抗する…
人の生き方その全てが…

穏やかな水面の下で
息が詰まりそうな密度で
果てしなく流れる。

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たまたま…
生まれた時代と環境を…
たまたま…
通り過ぎてきた過去と
その積み重ねでしかない価値観を…

自分を囲む…
濁流とは異なる何かだ
…そう信じて生きる人生。

でも、本当は…
私や個性というものも、
誰か特定の価値観も無く…

人という真っ白な器
注ぎ込まれた時代の一部...
時代そのもの
かもしれない。

...

そう...
変わりつつ、
変わらない...
穏やかなあの海のように。


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lcpam.hatenablog.com

 

人生を生きること。

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あたふた...小走りで
会社に向かう途中、
道端に咲いた花を
眺める時間...1秒。

妻の話を、
その瞳の色や形を、
じっくり眺める時間...5秒。

食卓の向こうで、
不手際の子どもを叱る
自分のバカバカしさを、
そのため息を眺める時間...5分。

険しい顔つきで、
眩しいモニターを
眺める時間...8時間。

そして...
その全てを眺めている
自分を眺める時間...〇〇

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生きること。

感情すらも金で買える、
このイカれた世界の中で、
無数の傷と共に生きること。

いたい。
むなしい。
かなしい。

できることなら...
もう二度と味わいたくない、
あの感情から遠く逃げ出す、
人生を生きること。

幸せ。
生きがい。
楽しみ。

輝く何かを掲げるのも、
そこから生まれる感情を
頼りにして生きるのも...
本当は...

いたくて、
むなしくて、
かなしいからなのに...

感情に傷に向き合えないまま、
輝く何かを追いかけてしまう…
人生を生きること。

手堅く、
潔く、
まじめに、
…ゆるく、
なるがままに...

誰かの言葉を眺める、
人生を生きること。

そして...
その全てである、
人生(自分)を生きること。

そう、それは...
今日もベッドで
目を覚ますこと。

好んでも…
好まなくても…
期待し、渇望しても、
否定し、絶望しても…

今日という日が、
また与えられる…

それ以上でも、
それ以下でもない
...ただそれだけのこと。

生きているから生きる...
それだけのこと。


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星めぐりの歌 / LUCA, There is a fox

 

lcpam.hatenablog.com

…ごめんね。

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…あ。。。
あの時と同じだ…

息苦しいレッスン教室。
下手くそなピアノの音。
ため息と笑いの眼差し…
耳元で同じ楽譜を眺め、
苛立ちを抑える大人たち。

…そしてその全てに…
向き合う勇気がなくて…
ただ…自分の不器用な指を、
何度も何度も…睨んでいた、
小学生の自分と…

下手くそなリコーダーに、
ため息と笑顔で眺める僕に
イラついている息子の姿が。

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何か、楽めることが、
一つでも増えればいいね。

もしかしたら…
最初はそうだったかもね。

つい先走ってしまう気持ちに、
その気持ちと遠く離れた現実に、
その現実への苛立ちと、
周りの目に
耐えきれずに…
ため息をつく前までは…

そして…
何十という年を経て僕は…

あの時の大人と同じように…

下手くそな音でリコーダーを
吹いている息子を…
抑えるのに必死な苛立ちを…

眺めているのね。

不機嫌な息子の背中。

鏡に映る険しい顔の自分。

そしてまた今度も…
その全てに
向き合えずに…
うつ向いたまま黙々と
リコーダーを洗っている、
小学生のままの自分。

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何か、楽めることが、
一つでも増えればいいね。

ごめんね。
本当に…ごめんね。

辛い思いをさせて…
忘れられない傷を残して…
楽しい時間を奪ってしまって…
向き合わずに言い訳ばかりで…

…ごめんね。
小さい手の息子…
そして小さい手の自分。

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♬ Sun Shower / LUCA, There is a fox

ありったけの…

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あ。。。

大きな感情の波に…
いつしか速まる鼓動。

高ぶる揺れと感覚に…
さらに激しく波打つ感情。

そして忘れていた感覚が…
ぼんやりとしていた意識が…
という瞬間に引き戻される。


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叫んで、
泣いて、
笑って、
悔しんで、
愛して...

ありったけの今を生きること。

毎瞬間波打つ感情を、
思いっきり感じ取ること。

寂しい時は寂しさを…
嬉しい時は嬉しさを…

抑えたり、
正当化したり、
ごまかしたりせず…
ありったけの感情に
どっぷり浸かること。

…久しぶりだね。

咲き乱れる桜の下で、
高ぶる何かと共に、
手を繋いで歩むこと。

あ。。。

時間と場所を通り抜け...
目の前にいるあなたと、
ありたっけの…今を生きること。


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♬ 四つ葉‣みどり、森ゆに…

大丈...

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何かを書けば書くほど、
言葉に臆病になっていく。

考えれば考えるほど、
思考は今から離れていく。
そして沈む気持ち。

... きっと大丈夫。

慰めの言葉を書くのも、
その言葉を眺めるのも、
結局、自分と自分。

大丈...

そう書いているうちに...
何故か涙が溢れる。

大丈夫じゃなくてもいい...
ということを、

やっと…
この歳になって気づくのね。

バカみたいに
(笑)


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生と美と、止むことのない笑いさざめき。

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を登ってゆくと、樹や茂みのない不毛の岩の間に、巨大で近づくことのできない岩から湧き出している、小さな渓流があった。それは渓流と呼ぶには大げさで、小さな流れとでも言うべきものであった。

流れ下って滝となり、さざめき、また流れ下って谷に落ちると、それはもう力の限り叫んでいた。それは街や渓谷や森や平野を通り抜けて長い道のりを行くであろう。それは圧倒的な流れの河となって、岸を洗い流れつつ自己を浄化し、岩の上では打ち砕け、遙かかなたまで流れ、海へ向かって果てしなく流れていた。だがそれはまだあの偉大な海に達しているのではなく、とても広くて深く、豊かで素晴らしい河なのであった。

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やがては海に注ぎ、その広大で底知れぬ水の中へ消え去ってゆくだろう。しかしその海は何千マイルも離れたかなたにあった。だが、ここからその海に至るまで、それは生と美と止むことのない笑いさざめきであった。何ものも、工場やダムさえも、それを止めることはできなかった。

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それは本当に素晴らしい河であった。広くて深く、その渓流には数多くの町が点在し、自由奔放で、決して己を渡さなかった。全生命がその上にあった。平野、森、孤立した家、 愛、そして破壊があった。

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長くて幅広く、優雅で使い古された橋がその上に架かっていた。他の大小の川がそこに合流していたが、それは、小さい流れや大きな流れの、それらすべての流れの母であった。それはいつも満ち溢れ、絶えず自己を浄めていた。そして夕刻、雲の深まりゆく色彩の中で、黄金色の木のそれを眺めるのは祝福であった。

だが、 遙かかなたにある小さな流れ、それを生み出すために非常に凝集したように見える巨大な岩々の間の、その流れが生の始まりであり、その終焉はその堤や海のかなたであった。

***

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瞑想はその河に似ていたが、しかしそれには始まりも終わりもなかった。それは始まり、その終焉はその始まりであった。原因というものはなく、その運動は、その再生であった。

それは常に新しく決して古くなることはなかった。それは時の中にその根を持っていないので、決して傷つけられることはなかった。強制したり、いかなる努力をすることもなく、せせらぎと共に始め、時間と空間を超えて瞑想することは良いことである。そこには思考と感情は入り込むことができず、経験も存在しない。

- クリシュナムルティの神秘体験 p.360 -

 

#1〜4 夫婦であること。

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#1 価値観の違い。

この度、価値観の違いで、
離婚することになりました。

...つい眺めてしまう、
有名人の離婚記事の中で、
高い確率で遭遇する言葉。

価値観の違い...

それっぽく聞こえる、
当たり前でありふれたその言葉を
少し注意深く眺めると…
つい少し笑ってしまう自分がいる。

...
違う過去、
違う傷や感情、
違う反動、
違う信念、
違う無数の何か…

ランダムで、
決して予測できない…
数えきれない偶然の、
積み重ねである過去。

そしてその過去からなる、
私やあなたという名前の価値観。

そう...それは...
最初から最後まで、
決して互いに重なることのない過去、
それ以上もそれ以下でもないものなのに…

どうしてそれが、
何かの理由になるのだろう…
便利な言葉だなと感心しつつ…
つい笑ってしまう。

...
もしかしたら...
何かの理由を求める
人々やマスコミに、
彼(彼女)が語りたかったのは…

価値観の違いではなく、
その違いに歩み寄りたくない
自分の価値観だったのかなと
そう思っては…少し笑ってしまう。


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***
#2 夫婦であること。

夫婦であることは、
不思議なことである。

自由があったからこそ、
互いや未来へのイメージを保持できる
そういう余裕があったからこそ、
存在し得た愛と呼ばれた何かは...

…それさえあれば、
何もかも乗り越えられそうな…
尽きることのない自信やエネルギーを
作り出していた愛と呼ばれた何かは...

思い込みとワクワクとの間を
無数に交錯しながら、
居心地良い感情やその反対や
その全てへの依存を作り出す、
あの愛という名の何かは...

やがて…
結婚や夫婦という現実を通りながら、
ただただ繰り返されるルーティンな
日常の荒波に砕かれ、飲み込まれていく。

その嵐の中で、
その激しい荒波の中で、
あれほど信じていた
愛と呼ばれた何かが…
いかに無力であったか、
いかに頼りないものであったかを
嘆き、恨み、自責する日常に…

私たちは…
いつの間にかぼんやりと光る
遠くの明かりを眺め、ワクワクし、
居心地良いあの自分探しを、
真実の愛探しを始める。

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夫婦であることは…
愛という危ういイカダを頼りに、
巨大な波に立ち向かうことに似ている。

決して壊れないと、
そう信じていたそのイカダは…
数えきれない日常に消耗され、
無数の葛藤で傷付いていく。

そして…気がつくと…
その本来の姿が何だったのか、
見当もつかないほど…頼りない姿に
イカダは変わり果ててしまう。

…にもかかわらず、
不思議なことに
私たちは…

それが今どうなっているのか、
その骨組みはどれほどのこっていて、
どこがどう壊れてしまったのか…

じっくりその姿をありのまま眺め、
その眺めるという行動から何かを
なおそうとはしない。

ただ…私たちは、
次の波が来るまでの、
ほんの少しの小波に耐えつつ、
イカダに乗っている自分、
一からそれを作り直す煩わしさから
ほんの少し解放された自分に満足し、
少し楽しく、少し気を紛らせる
何かに夢中になることで、
目の前の波やイカダのことを忘れてしまう。

...

あるべき姿。
夫や妻としての役割。
親としての責任。

カフェの中、
ベッドの上、
互いを眺め、意気投合し、
ときにはじゃれ合い、
ときには真剣に語り合っていた、
あのワクワクする未来は...
そこに横たわっていた愛は…
一体どこに行ってしまったのだろう。

無数に交錯するあの高揚感や
居心地の良いあの空気と気配は…
一体どこに行ってしまったのだろう。

それとも…
そもそもそこに…
愛と呼べるようなものが...
それこそ自分の人生を導く何かであると
そう信じていた「愛」というものが...
本当に存在はしていたのだろうか。

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***
#3 歩み寄り。

…そうかもしれない。

私たちが互いの価値観の違いに、
もはや…歩み寄る必要を感じなくなるとき、

永遠に重ならない線路のように、
それぞれが平行線のまま…
異なる人生を歩んでいることに、
私たちが気づくとき…

その気付きとともに、私たちは…
そこになんの愛も存在しないという
ありのままの事実に向き合う。

結婚。
夫婦。
愛。

愛を信じて結婚し夫婦になること。

そう、愛こそが…
その全てを結びつけられる、
一時的な感情や言葉を超える、
あの偉大な愛こそが…

説明できないそのワクワクや
静かで強力な説得力こそが…

途方に暮れる自分を駆り立て、
人生に意味や意義を与え、
誰かと手を繋いで生きていく勇気を、
吹き込んでくれることを…
そう…私たちは信じたいのかもしれない。


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***
#4 少し笑ってしまう。

異なる価値観の二人が、
夫婦という言葉で結ばられることは、
こうあるべき夫や妻という、
各自のイメージの対立を…

そのイメージへの期待が
大きければ大きいほど、
より大きな葛藤が…
より大きな試練が訪れることをも意味する。

私たちは...愛を得ようと
もしくは…得たその愛を維持しようと、
夫婦になるけれども…

皮肉にも…
まさに夫婦になることで、
愛を…無くしてしまう。

そしてその事実に...
愛なんてもう要らない
そう言わんばかりに...
愛を追い求めない自分を
正当化し、なぐさめる。

子供への愛。
恋人への愛。
兄弟や家族への愛…

そのとき、愛は…
誰から受け取るものとして、
環境や社会的役割の変化によって
やって来る何かとしてのみ存在する。

そう、私たちは…
何かの対象があるときだけ…
愛を語り、追い求めて…
そしてその不在を嘆く。

夫や妻…
子供や誰か、
ものや何か…

そういった対象とは無縁の、
いかなる対象も持たない、
愛があるだろうか?

男女間の恋愛や親子…
ワクワクや特殊な感情の中で、
対象から見出し、感じ取る、
そういったものとは異なる愛が…

それで…
愛することでも、
愛されることでもない、
そういう愛があるだろうか?

誰かの妻や夫だからではなく、
子供の親だからでもなく、

過去の傷やその反動の虚しさを…
価値観というものの窮屈さを…
未来への不安に怯える自分自身を…
眺めることの中にある、愛が…

バラバラに砕かれた、
あのイカダを…
無数に刻まれた傷と悲しみを…
やさしく撫でおろし、
その全てを結びつける愛が…

そして…
目の前にいるあなたを眺め、
少し笑ってしまう愛が。


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♬ 清い正しい美しい・ 阿部 芙蓉美

 

lcpam.hatenablog.com

洗濯機と芸術。

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ゴォー

ゴォー

特別なことは何一つない、
平凡…日常…という言葉以外、
何とも表現できない、
そういう平日の昼前。

洗濯機の音が…
澄み切った朝の空を背に、
騒々しく響き渡る。

うるさい…

その言葉を口にするや否や…
あの美しい空と空気は…
一瞬にして不快感と嘆きに
埋め尽くされる。

そういえば…

あの音は…
息が詰まりそうな、
静かな美術館の中で
偉大な作品を眺めるとき…
ちょうどポケットで鳴り響く
あのアラームの音に...

そう、あの軽々しい音は...
偉大で高尚な芸術とはかけ離れた、
平凡で浅はかな日常を...

また「芸術 vs 日常」といった具合に…
そうやって常に目の前の何かを、
区別し眺める自分(価値観)という存在や
その特有の窮屈さと不快感を、
気づかせてくれるシグナルに似ていた。

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素晴らしい芸術。
美しい自然。

入場料や手間と引き換えに、
美術館の中で見上げられる何か。

高価なフレームに飾られ、
巧妙に配置された何か。

数千万、時には数億という...
日常とはかけ離れた数字で
評価され、崇められる何か。

歴史的遺産…
人類の宝物…

ありとあらゆる言葉で
褒め称えられるアートや
芸術と呼ばれる何か。

…そう、誰もが頷き、絶賛し、
その実物を観たがり、集まる…
あの有名な名画を眺めるとき…

またそれと同じように自分の中で、
価値ある何かとして崇める
自然を眺めるとき…

本当に…私たちが眺めているのは…
目の前にあるその何かだろうか?

それとも…
自分が描くイメージ…
必死に感じとろうともがく…
何かの感情や感傷だろうか…

…そう、
もしかしたら私たちは…
画家や作品への偏見から、

誰かの評価や数億の価値…
ありとあらゆる情報という
知識で作られた自分のイメージから…

またそのイメージを、
実際に感じてみたいという期待から…
何かを眺めていないだろうか?

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芸術…
教養…

それっぽい言葉に酔いしびれ、
期待や高揚感に胸を膨らませて
軽々しく出かけた美術館で、
私たちが出会うのは…

高尚なものとは程遠い、
少しも偉大ではない…
芸術、アートという言葉と
無数のイメージに酔いしびれた、
平凡な自分の姿ではないだろうか。

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芸術。


いかなる知識も、偏見も、

いかなるイメージも持たずに…
何かを眺めること。

知識を見せびらかしたり、
誰かの評価を褒め称えたり、
批判し、その言葉に縛られて
何かを眺めないこと。

また自分の苦い経験から
その反動として見出した
ちっぽけな価値観や思い込みで…
子供や誰かを導かないこと。

画家の名前…
作品のタイトル…
知的好奇心や教養人としての
理想や条件として眺めないこと。

そう、それは…
目の前にある何かを、
知識や経験、誰かの言葉を全て忘れ…
まるで初めて赤ん坊を眺める時のように…
…眺めている自分すら忘れて眺めること。

もし芸術というものがあるならば、
それこそ…芸術ではないだろうか。

…ぎこちない動作で、
何かを表現することに
無我夢中な子供の瞳と、
その奥に映された一枚の画用紙こそ…

今ここで…
自分がその全てを眺めていることに、
その計り知れない価値に気づくことこそ…

専門家の言葉や無数の教育理念…
何も持たずに何かを眺めることこそ…
...本当の芸術ではないだろうか。

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ゴォー

ゴォー

洗濯機の音に合わせて流れる雲。

…何気ない言葉に、
全身で笑う子供の背中。

自分はこれ以上いったい…
何を探し求めていたんだろう...

と気づき、そのバカバカしさに、
つい笑ってしまう自分を眺めることこそ、
...生きるという芸術ではないだろうか...


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♬いつかまた微笑みあえる日がくるまで 阿部芙蓉美

 

lcpam.hatenablog.com

真っ白であること。

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偶然...眺めた車窓。

家や橋、並木道や信号...
その間々を青く彩る空。

ゆっくり遠のく山の天辺に
高さを競うように並ぶ朝日。

目を凝らして眺めても…
その境界線がどこなのか、
決して特定できない眩しさが、

気が遠くなるような…
空間を通り抜けて静かに
しかし...あっという間に、
電車の中に広がる。

山と朝日、そして…
電車の中のあの光を、
過去の記憶を呼び起こさずに、
どんな言葉もつけずに、
本当に静かに眺めていると...

人や景色...そこにある、
あらゆるものの境界線が、
限りなく曖昧であることを…
人は気づくかもしれない。

やがてあらゆるものが、
それを眺める自分もが...
あの光のように…
全てが真っ白になるとき。

ガタン...ゴトン...

電車の音すらも、
あの真っ白な静けさに、
飲み込まれるとき。
...
目的地や用件、
無数の昨日の残像や
未来への不安や悩みが…

また社会人や親としての
何かに属する自分という、
何かの境界線が消え去る…瞬間がある。
...
そしてそれと同時に...
自分がどれほど今という
場所から離れていたか…
今を生きる体を置き去りにし、
あの山の天辺よりもはるか遠くで
もがき、苦しみ、悲しんでいたかに気づく
…瞬間がある。

しかしその気付きは...
「今ここ」という言葉を
ひたすら反復し、強調し、
それこそ意義があるのだと…
掲げることの無意味さへの気付きでもある。

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真っ白であること。

方向や目的を失ったと戸惑い、
不安がらないこと、
過去への執着や未来への不安に
怯えないことは...
死を恐れないことでもあることを...

そしてそれこそ…
偶然…与えられた人の生を、
本当に生きることでもあることを…
いかにして人は気づくのだろうか。

そう…真っ白であることは、
あの景色のようにただ...ただ...
静かに広がることでもあることを、
いかにして人は気づくのだろうか。

…完璧なほど美しい朝は、
いつもそうやって…
何の期待も、何の記憶も
持たないときにだけ…
静けさとともに現れる。
...
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***
自由。

毎日繰り返される日常の中で、
その数千数万の積み重ねである
長い人生の中で…

何度も何度も語り、探し求める、
あの自由と呼ばれるものは、
いったいどこにあるだろう。

思う存分何かが買える金銭的自由、
誰かの社会の束縛から開放される自由、
何事にも思い煩わない心理的な自由。

....常に不快感や経験の苦みから、
探し求める自由というものは...
いったいどこにあるだろう。

思う存分何かが買えるようになれば、
束縛から開放されれば、
何事にも動揺されなくなれば...

日々の日常の中で、
その繰り返しである人生の中で...

満たされず、足りない何か…
嫌な思いや感情を全て…
消し去ることができれば...
そこに自由があるだろうか。
...
もし本当に...
そこに自由があるならば…
あらゆるものを、
嫌な思いや不快な感情を…
全て消し去ることの中に
もし自由があるならば、

生きている限り…
果てしなく生まれる不満や
あの虚しさを消し去る、
一番手っ取り早い方法は…
生きることを辞めること、
つまり…死ではないだろうか。

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***
毎日…死ぬことはできないだろうか。

こうすべきだ!
こうすべきではない!…

不満や抵抗を作り出す記憶や価値観が、
何かへの不自由に苛立ち、怒り、嘆く思考が、
…その全てを眺める自分という幻が…
死ぬことはできないだろうか。

過去の出来事を繰り返し、
何度も言葉を噛みしめる思考が、

今を生きずに努力や未来という
言葉に逃げ込む思考が…
死ぬことはできないだろうか。

そう...自由は…
閃光のように現れては、
何も残さないまま…
人の生を通り抜ける…
あの真っ白で、眩しい何か…

いつもそうやって…
何の期待も、何の記憶も
持たないときにだけ…
突然…静けさとともに現れる…
あの真っ白な…死なのかもしれない。

 

lcpam.hatenablog.com

言葉であり、言葉を超えるもの。

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絆、
愛情、
希望、
情熱、
未来...

...言葉。

どこかで聞こえてくる言葉。
スマホや本で眺める言葉。

自分に絶えず...
心地よい感覚や不快感を
呼び起こす言葉。

2キロ足らずの小さな脳の中で
数え切れない神経束の中で...
そうやって跡を残し、消えていく言葉。
...

決して...リアルなものでも、
何かの実体があるわけでもない、
単なる記号でしかない言葉。

しかし胃が食べ物を消化するように...
無数に張り巡らされたニューロンを使い、
噛み砕き、記号から何かを生み出す言葉。

喜び、
落胆、
苛立ち、
怒り
...涙。

そう…
脳というやつは...

毎日...毎日...
決して休むことなく、
膨大なエネルギーを
使い果たしながら

ただ…ただ…
言葉を飲み込み、消化し、
そして思考を生み続ける。

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美しい自然を眺める瞳、
危険を俊敏に察知する鼻、
暑さや寒さ、刺激から身を守る肌、
アルコールを熱心に分解する肝臓...

そのどれもが...
自分と繋がっている体を守ることに、
それ自身を傷つけないことに熱心なのに...

そうやって他の臓器全てが
力を合わせて
必死に送ってくれるシグナルを...

というやつは…
その中から快を選び、苦を避けようと、
自分が描くイメージで眺めたり、
もしくはその全てを無視する。

そうしているうちに...
体(自分)を守るという観点とは、
全く真逆のことを仕出かしてしまう。
...

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思考。

安全を求めようともがく思考。
自分が持っているものを失うかと思い煩い、
不安がり、比較し、怒る思考。
...
その思考行為こそ、
自分を…自分ではない他人と区別し、
比較し、敵対し、その全てである、
イメージを作り上げて非難する、
不安から生まれた思考と行為こそ…

まさに…
一生をかけて探し求めてきた
安全や幸せというものを
脅かす、
最大の脅威であることを…

不安→思考→行動→不安という
無限ループを作り出す原因であることを…

思考は…いや、人の脳は
果たして気づくことができるだろうか?

もし数千万、数十億の人が、
それと同じループの連鎖を…
ただ…ただ…繰り返しているだけなら…

自然の中にある、
あらゆる命のように…

生きるために自分の限界を知り、
懸命に自らを
変えてきた…
あの進化と呼ばれる何かを…

はたして...人の脳は…
遂げてきたと言えるだろうか?

それとも、
それは…進化というより、
自らを滅ぼす退化のような何かに…
辿り着いてしまったのだろうか?

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***
全く違う、脳の使い方があるだろうか。

不安から逃れ、
安心安全を手に入れようと…
誰かを敵対するそのプロセスがもたらす
新たな不安を
全く生み出さない使い方が...

危険から身を守る、
臓器の機敏さのように、
目の前にある危険を
ありのまま見ることなく…
不安や心配、好き嫌い...
感情やちっぽけな価値観で眺め、
ゆがめてしまう、その危険性に
毎瞬間…毎瞬間...
知覚する使い方が…

あらゆる感覚(五感)に、
またそこから生まれる、
快と苦への反応や
思考に…
一喜一憂し、好きだ...嫌いだと…
性急に言葉にしない使い方が…

特定の反応にではなく…
全ての反応に気づき…
その感情全てを十分味わい…
決して跡を残さない使い方が…

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目の前で今…

苛立ち…
悲しみ…
笑っているあなたに気づき…
同時に自分の姿に気づく生き方が...

言葉。
思考。
…その果てしのない、
エネルギー消耗とは無縁の...

そういう生き方があるだろうか?

そう...
言葉でありながら、

その言葉を超える…

…「愛」という名の…生き方が...

 

♬ 風のつよい日に | 森ゆに

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さあ、およぐぞ。

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「さあ、およぐぞ。」
くじらは、青い 青い
空の なかを、
げんき いっぱい
すすんで いきました。

うみの ほうへ、
むらの ほうへ、
まちの ほうへ。

…何年ぶりだろうね…
君のことを思い出すのは…

まだ肌寒い土曜日の夕方、
薄暗い小さなレストランで、
緊張していた僕の結婚式を…
窓側の奥で生まれたばかりの赤ん坊を、
あやしながら眺めていた君のことを…

赤と紫で綺麗なハンボクと髪の毛で、
静かに座っていた君の最後の表情を…

何年ぶりだろうね…

どうしてもっと早く教えてくれなかったの!
言葉を選ぶ母に怒っていた…
あの日のことを思い出すのは…

何年ぶりだろうね…

もしというのはないだろうけど、
もし…君が今も生きていれば…

育児のことについて、
親としての人生について、
旦那さんへの不満について、
そしてあの頃の思い出について…

きっとふざけ合いながら、
話し合っていただろうね…

同じ年に生まれたこと以外、
性別も、親も、環境も…
何一つ同じではなかったのに…

多くの甥や姪たちを優しく、
引っ張る姉と兄として…
互いを支え合っていたことを…

どうして僕は…
今になって…その全てを、
昨日のことのように…
思い出しているだろうね…

そう…もし君が生きていれば…
二人で、はしゃぐ子供たちの背中を
眺め、きっとあのときのことを、
笑いながら話していたんだろうね…


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昨日への「死」がある時、
その時…本当の「生」が現れると…
誰かが言っていたんだけど…

僕は、花開く死を眺めることに…
歳と共に変わり続けるその花の姿に…
耐えきれずに逃げたりしないで、
思い浮かぶ感情、その全てをただ...
ありのまま…眺めるその中にこそ…
生というものがあるのだと…
少し自慢げに...話していたんだろうね。

何年ぶりだろうね…
そして…どうしてだろうね…

息子が読んでくれた、
あのくじらぐもの話に…
ずっと忘れていた君のことを
思い浮かぶのは...

でも…
今日はいいよね?
今日は少し感傷的になっても…
今日は少し涙を流しても…
...いいよね?

きっと…君は…
あの青い空の中を、
元気いっぱい…
すすんでいるだろうから…

「さあ、およぐぞ。」
くじらは、青い 青い
空の なかを、
げんき いっぱい
すすんで いきました。

うみの ほうへ、
むらの ほうへ、
まちの ほうへ...

みんなは うたを
うたいました。

そらは、どこまでも
どこまでも 続きます…


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♬いくつもの |寺尾沙穂

 

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(出版案内) 本を…アナログの本を出版しました。

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本を…
アナログの本を出版しました。

その時々の思いつきで、
書いてきたブログ記事を…

人生・日常・瞑想・育児、
四つのテーマに並び替え…

確かな質感が感じられる、
コーヒーや雨…湿気などに敏感な…
紙質の本の中にまとめてみました(笑)

どこか…もの足りない表紙が、
刺激とは程遠い地味な編集が…
でたらめな日本語文法と、
いつもの訳分からない書き方と相まって…

今どき珍しい、アマチュア感満載の
仕上がりになりましたが…

この度、何とか…
アナログの本を出版しましたので、
ご案内までに。

クリシュナムルティから学ぶ人生と育児
(Kindle ダイレクト・パブリッシング)

 

📚 今のどころ、韓国語版の予定はございません(笑)

偶然…そう、いつも偶然。

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偶然...

遮るものは何一つ無い
昼前の落ち着いた空を、
いつもの公園で...
偶然...見上げる。

そこには…
何度も首を回さないと...

その輪郭すら掴めない、
パノラマのような景色が...

はしゃぎまわる子供、
舞い上がる砂埃、
通り過がりの人や犬、
静かに落ちる枯れ葉、
子供を見守る親の背中...

ありふれて...つい...
見落としてしまう、
何気ない日常の上に...

アンバランスな対比と
圧倒的なスケールで
果てしなく広がる。

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それはまるで...
天国か何かを眺めるような、
誰も考え出すことのできない、
壮麗で夢幻的な何かのように..

自分を見ろなど何も言わず、
ただ...本来あるべきところで...
地上のあらゆるものに向かって
ただ...広がっていた。

それは...
ただそこにあるという言葉以外…
全て無意味だと、いや...
人の言葉というちっぽけな器では
到底説明できない何かなのだと...
そう言わんばかりに...

それを眺めるものに...
言葉を超えた何かで心を揺さぶり、
次々と問題を見つけ出す思考を、
果てしのないお喋りの独り言を、
今日も永遠と動き回る思考を...
一瞬にして全て取り払うのである。
...
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よりきれいに…

よりリアルに...

最先端のテレビやカメラ、
高画像のプロジェクター...
人間が発明し、進化させてきた
どんなテクノロジーでも...

の前に広がるあの景色を...
再現することは決してできないだろう。

夜空に広がる無数の光が、
それぞれ異なる輝きと色で
散りばめられた星空の美しさは、
絶え間なく変わり続ける、
奇跡のようなリアリティーは…
決して作り出すことはできないだろう。

f:id:olewakbh:20211209183540j:image

あの雲や星...数え切れない命、

自然がもたらすあの美と秩序を...
片っ端から破壊しつつある私たち人間が…

小さいテレビや何かの中で、
その美しさに唾を飲み込み、驚嘆し、
その大切さと必要性に涙を流しているのは
何とも皮肉なことだろう。

どうして...
私たちの日常に溢れた景色や自然は、
人間は決して作り出すことのできない何かは...

うまく編集された高画質の
ドキュメンタリーの中で、
眺め、楽しみ、笑い、涙を流す、
もう一つの娯楽になってしまったのだろう...

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スローモーションで動く
野生動物の力動感とその物語を、
どうして私たちは…
日常の中で、自然の中で
見つけようとせず、
テレビや小さいスマホの中で…
おやつを片手に
鑑賞しているのだろう…

またその短い鑑賞が終わると、
ほんの少しの余韻すら噛み締めず...
無数の壁に取り込まれた、
息苦しい建物の中に引きこもる、
自然とは無関係な日常を...
そういった人生を送っているのだろう…  

f:id:olewakbh:20211209185043j:image

***
柵の向こうから聞こえてくる
心地よい鳥たちのさえずり。

古い墓の近くで倒されずに
偶然残っていた大きな枯木が…
誰も気にしない公園の片隅で
小さな森をなしている。

音もなく揺れ動く葉っぱの上で、
無数に飛び交う溢れる生命力。

激しい風に息を潜め、
互いを呼び合うあの鳥こそ…
枯木を住処に遠くの空に旅立つ彼らこそ…
あの空…あの天国の主かもしれない。

...

宙に浮く蜘蛛を…
一瞬一瞬変わり続けるその何かを…
まるでそれを眺めるために
生まれてきたかのように...
全身で眺める息子の輝く瞳の中に...

夜空できらめくあの星々が…
果てしなく広がるあのパノラマが…
奇跡のようなあのリアリティーが...

偶然...
そう、いつも偶然...ただそこにある。

🎵 祝いのうた | 森ゆに

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